プログラマーという生き方

プログラムとの出会いは中学生のころ。
小学生のころからテレビゲームが大好きで、中学生になっても相変わらずゲーム三昧だったころのことだ。ふとゲームってどうやって作るんだろう?と思ったのがきっかけで「プログラミング」という言葉を知った。

一言にプログラミングと言っても記述する言語がたくさんあるらしいことを知り、当時の私はだいぶ混乱したのを朧気ながら覚えている。
結局「プログラミング 入門」で検索して「猫でもわかるプログラミング」というサイトにたどり着いた。今となっては書籍化までされている有名サイトだ。
そこで解説されていた「C言語」が私の初めてのプログラミングであった。

確か当時はbcpadという、書いたCプログラムを簡単に実行できるエディタを使用しており開発環境に悩んだ覚えはない。もしこの時、開発環境の構築が難しかったら私は今プログラマーになっていなかったかもしれない。そう考えるとbcpadには感謝をしなくてはならない。

一番最初に”Hello World.”がコマンドプロンプトの黒い画面に表示された時は驚き、感動したものだ。本当の意味でパソコンを操れたような気がして、細かいことや難しいことは分からないけど何かが始まった気がした。

一通りポインターまで講座を進めて、ゲーム作りに必要なプログラムを調べ始めた。するとゲーム開発に特化したプログラミング言語にぶつかった。「Hot Soup Processor」通称HSPだ。まず取り掛かったのは初代Final Fantasyのようにキャラクターをキーボードの矢印キーで歩かせることだった。

キャラクターを歩かせるには、正面・左・右・後ろを向いている画像。各向きについて、静止・左足前・右足前の画像が必要と知った。
当時からそういう画像のセットを公開してくれているサイトがあってよかった。もしそのようなサイトがなければ、プログラマーになっていなかったかもしれない。
画像を集めてからが地獄だった。まず画像の表示からうまくいかない。表示できても矢印キーで動かない。矢印キーで動いても左に動くが画像は正面を向いたまま。解決策を求めてネット上を探し回った。
直面している問題を解決するための検索方法は、おそらくこの辺りから身についたのだろう。当時は今ほど情報も多くなく、英語もそこまで読めなかったのでよくやっていたと思う。
やっとのことでこちらの意図した通りに動いた時は相当に嬉しかった。

飽きっぽい性分のため、動いたところで一度満足してプログラムから離れた。バスケットボール部だったので、そちらへの熱が高まるとプログラムどころではなかったのだろう。
それでもプログラムのやり方はなんとなく忘れなかったし、忘れかけたらたまにbcpadを起動していた。
そのころから私はもうプログラマーだったのだ。

私はプログラマーを職業と思っていない。もしプログラマーが職業なら、趣味でプログラムを書いている人間はプログラマーではないからだ。
プログラマーはプログラムを書ける人のことでもない。プログラムは誰でも書けるから、人類皆プログラマーになってしまうからだ。

私は思う。プログラマーはプログラマーという生き方を選択した人のことだと。

プログラムは基本的に誰かのためになるものだ。ゲームだろうと伝票管理だろうとそれは誰かのためのものになる。
プログラマーは自身のコンピュータの知識と技術をもって誰かのために行動し、そこに自身の喜びを見る人のことだと思う。